特集

ラズウェル細木の秋田旅行記 象潟の天然岩ガキ編

   全国の呑兵衛の皆さんのバイブルでもある、漫画『酒のほそ道』(日本文芸社)。作者であるラズウェル細木先生が『秋田の物産総合情報サイト NEMARE』でコラムを執筆している縁から、NEMAREの特集ページで「夏の秋田の食文化や風情を巡るラズウェル細木の秋田旅行記」を企画してみたところ、先生は快く引き受けてくれた。
また、先生と日本文芸社のご厚意で、この企画を『酒のほそ道』に急遽連載してもらうことも決まった。というわけで、先生と日本文芸社の『酒のほそ道』編集担当者が秋田を訪れ、3日間にわたって旬の美味しい秋田を体験、堪能していただいた今回の秋田旅行記。まずは1日目の『象潟の天然岩ガキ』を求めて、秋田県にかほ市象潟町を訪れた様子を紹介しよう。

 
先生にとって初めての秋田県。これからどんな旬の美味や酒との出会いが待っているのか・・・。

日本一の生産量を誇る象潟の天然岩ガキ

 『ラズウェル細木の秋田旅行記』最初のターゲットは、「象潟の天然岩ガキ」。象潟の岩ガキは日本一の生産量を誇る秋田の夏を代表する美味の一つだ。岩ガキ漁は毎年7月上旬に解禁され、8月下旬まで漁が続く。岩ガキ漁は素潜りで行う。岩ガキは海底の岩にへばりついていて、漁師たちは手に「J」字型のバールを持って海中へと潜り、岩からカキを剥がして海面へと上がる。海面に浮かべた、タライのような入れ物へカキを入れ、再び海中へと潜っていく。海面と海中を何度も行き来する大変な作業だ。
 当日は先生が実際の岩ガキ漁に同行し、漁を目の前で見学する予定であったが、天候不良のため漁自体が中止となってしまった。
 日本海沿岸で獲れる岩ガキは夏に旬を迎えるが、「日本一旨い絶品」との評判もある象潟の岩ガキには旨さの秘密がある。
 旨さの秘密には霊峰鳥海山の伏流水が大きく関係している。鳥海山に降った雨や雪が地中に浸透し、長い年月をかけてゆっくりとろ過されながら、ミネラルたっぷりの栄養素を含んだ伏流水となる。その伏流水が海底から湧きだし、岩ガキのエサとなるプランクトンを育てている。豊かな伏流水と良質なプランクトンのおかげで象潟の岩ガキは一味違う絶品となっていくのだ。
 
漫画『酒のほそ道』での鳥海山の伏流水の説明。(※「酒のほそ道」第745話秋田出張①象潟の岩ガキより)

 にかほ市の「金浦漁港」へと向かった取材班。当日は金浦漁港では天候不良のため漁は中止となったが、近隣の漁港から競りのため魚介類が集まっていた。岩ガキの状況について、漁協関係者は「獲れる量が安定せず、浜値が高い状況だ。天候の悪さも関係している」という。
 しかしながら、漁協の市場では量は少ないものの、ヒラメやマダイ、ホッコクアカエビ、マアジ、カレイ類、アワビ、珍しいところではアカイカなど多種類の魚介類が競りを待っていた。
 これらの魚介類は「定置網(※)」や「刺し網(※)」などで漁獲されたもので、漁獲量が多い「底びき網(※)」は7月~8月の2ヶ月は禁漁となっており、解禁となる9月以降はハタハタやマダラなどもっとたくさんの魚種が水揚げされるそうだ。
※定置網: 袋状や垣根状の網を魚の通り道に張り、奥の網へと追い込んで魚を獲る。
※刺し網:魚群の遊泳する場所を遮断するように網を張り、網目にからまった魚を獲る。
※底びき網:漁船からロープを伸ばして袋状の網をつけ、これを曳航(えいこう)して海底にいる魚を獲る。
 
近隣の平沢漁港で獲れた天然岩ガキ。獲れたカキは当日のうちに競りにかけられる。

 
岩ガキを手に取り、説明を受ける先生。

 
ヒラメやマダイ、アジなどが並び、競りの時を待つ。


象潟の天然岩ガキの旨さを満喫した「割烹新よし」

 1日目の昼食は、にかほ市象潟町にある「割烹新よし」。地元象潟で獲れた新鮮な魚介類を味わえるお店で、象潟周辺はもちろん、山形県など県外からの客も訪れる。店主は庄司 勲(しょうじ いさお)さんといい、夫婦でお店を営んでいる。庄司さんは旬の時期など素材の特徴を熟知することがとても重要だという考えのもと、素材が持つ旨さを最大限に活かした料理を心がけているそうだ。
 そんな庄司さんの料理に対する姿勢から、夏に「割烹新よし」の天然岩ガキ料理を食べにやってくる常連客も多い。
 卓上にはまず「生岩ガキ」、「岩ガキの塩辛」が並んでいた。このご馳走のお供は山本合名会社の「大吟醸白瀑」。華やかな香りながらしっかりとした味わいが特徴だ。
 乾杯の後、生岩ガキを「ヂュルッ」と一口でほおばった先生は味の濃さに驚いた様子。カキの濃厚な味に搾ったレモンの酸味がアクセントとなり、旨さが口全体に広がっていく。
 続いて初めて食べる岩ガキの塩辛に「ピリ辛で酒と良く合います。酒がどんどん進んでしまいます。」とぐいぐいと杯を空けていく先生。この岩ガキの塩辛は店主の庄司さんが4年もの試行錯誤の末、完成させた逸品である。マグロやトビウオ、山椒、唐辛子など(詳しいレシピは企業秘密)と一緒にカキを1年間漬け込むことで旨さが凝縮される。なかなかお目にかかれない、ドンっとまるごとカキが入った岩ガキの塩辛は実際に新よしを訪れて召し上がっていただきたい。
 
生岩ガキ(写真奥)と、カキがまるごと一個漬かっている岩ガキの塩辛(写真手前)。

 
漫画『酒のほそ道』での岩ガキの塩辛の説明。(※「酒のほそ道」第745話秋田出張①象潟の岩ガキより)

 
生岩ガキはレモンを一絞りして、躊躇せず一気に口の中に入れたい。

 どんどん運ばれるカキ料理だが、続いて「岩ガキのフライ」、「焼き岩ガキ」が運ばれてきた。フライのサクッとした衣の中に肉厚の岩ガキが包まれ、これも濃厚な味わいである。
 ところで新よしでは、カキフライのための自家製ソースが用意されている。先生は常々「カキフライにはウスターソースが一番相性が良い」という見解を持っており、先生の気持ちを代弁して、取材班の一人が恐る恐る「他のソースもありますか?」と聞いてみると、女将さんから「自家製ソースしかだめだ!」とにべもなく断られる結果。普段の食堂感覚で食べるカキフライ定食とは違い、素材を最大限活かした料理でもてなす、新よしのこだわりや自負に取材班の一同は納得。先生も「自家製ソースでいただきましょう」と笑顔でカキフライを口に運んでいた。
 焼き岩ガキの方は、ほどよく火の通った焼き加減で、味噌を使った濃厚な味わいに「これまた酒が進んでしまいますなぁ・・・」と先生は「大吟醸白瀑」を何度もおかわり。
 
味噌仕立ての焼き岩ガキ。

 締めは「海鮮丼」と「岩ガキの味噌汁」。シマエビ、アカエビ、ニシガイ、タイ、ヒラメ、ウニ、イクラ、厚焼き玉子などが盛り付けられた色鮮やかで豪勢な海鮮丼は見た目も味も抜群だ。
 先生にとって岩ガキの味噌汁は初めてだったようで、お椀から箸で岩ガキをすくい上げ、カメラでおさめてご満悦だった。
こうした天然の岩ガキづくしに先生も大満足の様子。もちろん「大吟醸白瀑」が完飲されたことは言うまでもない。
 
岩ガキの味噌汁の中にもカキがまるまる一個入っていた。

 
漫画『酒のほそ道』での「割烹新よし」食事風景。(※「酒のほそ道」第745話秋田出張①象潟の岩ガキより)

 
食後、先生と庄司さん夫婦は記念写真。象潟の天然岩ガキとこだわり料理に感謝。
「割烹 新よし」
秋田県にかほ市象潟町家の後184-4
TEL 0184-43-2037


「ほそ道」つながりで芭蕉ゆかりの地「蚶満寺」へ

 続いて一行は『奥の細道』で知られる江戸時代の俳人松尾芭蕉も訪れた「蚶満寺(かんまんじ)」へと向かった。芭蕉が象潟を訪れた際も雨模様だったといわれ、その状況で詠まれたのが有名な『象潟の雨や西施がねぶの花』の句である。
取材当日も雨が降ったり止んだりのあいにくの空模様。やはり「ほそ道」同士、何らかの縁があるのかもしれない。
 芭蕉が象潟を訪れた頃は、海に小島が浮かぶ静かな入り江となっていた。それが文化元年(1804年)6月の大地震によって潟底が隆起し、海水が失われ現在のような陸地になり、現在は「九十九島(くじゅうくしま)」とよばれている。

 
漫画『酒のほそ道』での「九十九島」の描写。(※「酒のほそ道」第745話秋田出張①象潟の岩ガキより)

 
松がそびえる島々が田園の中に点在する様子に往時を偲ぶことができる。

 
昔小島が浮かんでいた方向を指す先生。

 
松尾芭蕉像。芭蕉の「俳句」と先生の「酒」。題材は違っても「道」を追求する者同士が古今を超えて対面。

 天候不良のため、岩ガキ漁体験は叶わなかったが、鳥海山の伏流水で育つ「象潟の天然岩ガキ」を通して、秋田の自然の豊かな恵みを感じることができ、岩ガキの旨さを存分に味わうことができた1日目の「象潟の天然岩ガキ編」。
 2日目の「森岳じゅんさい・阿仁川の天然鮎編」は12月、3日目の「男鹿の真鯛編」は平成22年2月の更新予定。秋田のウマすぎる美味を紹介する、今後の『ラズウェル細木の秋田旅行記』に乞うご期待!!

秋田旅行記1日目のおさらい~ラズウェル細木先生直筆の絵日記~
 
 

『ラズウェル細木の秋田旅行記』スペシャルプレゼント企画!!

 先生を拝み倒して実現した「超レア」なプレゼント!!この色紙は、「NEMARE」でしか手に入らない希少なアイテムですので、たくさんのご応募をお待ちしております。第1回目は、象潟の天然岩ガキ編の「象潟の岩ガキ」色紙をプレゼント。奮ってご応募ください。
 
色紙左より「象潟の岩ガキ」、「森岳のじゅんさい」、「阿仁川の鮎」、「男鹿の真鯛」の4枚の色紙。

応募方法
応募はメールにて受付致します。件名に「『ラズウェル細木の秋田旅行記』スペシャルプレゼント係」、本文に「象潟の岩ガキ色紙を希望」、「秋田の物産総合情報サイト NEMAREへの感想」、「名前、郵便番号、住所、電話番号」をご記入の上、下記のアドレスにメールをお送りください。
E-mail:syokusai@pref.akita.lg.jp

抽選・発表
「象潟の岩ガキ」色紙を抽選で1名様にプレゼントします。厳正な抽選を行い、色紙の発送を持って発表にかえさせていただきます。
※ご応募いただいた個人情報は、適正に管理し、プレゼント企画の抽選及び発送の目的以外に使用することはありません。

象潟の岩ガキ色紙応募締切
平成21年10月1日(木)〜平成21年11月30日(月)